【看護師解説】白髪対策に鉄分サプリは効果を期待できない理由

白髪対策のウソ・ホント

白髪が増えてきて…友人に相談したら、鉄分のサプリを飲んだらいいよってすすめられたんだけど、本当に効果あるのかしら?

今回はこのような質問に答えたいと思います。

本記事の内容

白髪対策に鉄分サプリを飲んでも効果のない理由
貧血の人が鉄分サプリを飲んでも黒髪にはなりにくい
貧血でない人は「食事からバランスよく」が基本
ネットで悪質な白髪サプリ広告の見分け方
白髪に特効薬はない!染めるほうが安心

私は、女性向け毛髪医療クリニックの看護師です。ここでの知識・経験などを活かして、さらに月に100名以上、髪に悩める女性にヘアアドバイスをしています。

白髪予防や白髪対策として、ドラッグストアなどで見かける鉄分のサプリメントを摂る人がいます。結論からいえば、いくら白髪対策に鉄分サプリメントを飲んでも黒髪効果は期待できません。

そこで今回は看護師の観点から「白髪対策に鉄分サプリメントを飲んでも黒髪が期待できない理由」について熱く解説していきたいと思います。

白髪対策に鉄分サプリを飲んでも効果のない理由

結論からいえば、貧血と診断されていて白髪が急に増えた人が治療を受けて貧血が改善すれば黒髪がはえてくることはあります。

しかし、貧血でない健康な人が「白髪予防に」と鉄分をサプリや薬でいま以上にとっても黒髪が生えてくることはありません。

残念ながら貧血でない人が、いくら鉄分をとっても黒髪は生えてきません

貧血とは、酸素を運ぶ赤血球の濃度が低くなった状態です。

貧血になると酸素が体に行き渡らなくなり、めまいや立ちくらみ、倦怠感がでてきます。髪に対しては、酸素不足により髪の黒色成分であるメラニン色素が十分作られなくなり白髪が増えてしまいます。

このような貧血の方が治療で鉄分を補給して、貧血が改善されれば、黒髪に戻ることがあります。

現に私の看護師体験から「奇跡の黒髪」といわれる出来事がありました。今のクリニックに勤める前、総合病院に勤めていた時の話です。

赤血球のなかでもヘモグロビンという値が7.0g/dl台という低い値を維持していた鉄欠乏性貧血の90歳の女性の話です。

その女性が貧血の治療を開始し、1年くらい経過したときでした。ヘモグロビンの値は11.0g/dlにまで回復してきて、その状態を数ケ月維持していました。

すると、真っ白だった髪の毛の生え際1cmに黒髪がはえているのです。ゴマプリン状態(毛先が白、生え際が白黒入り混じるグレイヘア)になっていました。

このように90歳でも貧血を改善させれば、黒髪をはやすことは可能です。

しかし、貧血ではなく老化現象による白髪であれば、いくら鉄分を補給しても黒髪に戻ることは期待できません。

なぜなら老化による白髪は、髪の毛の色素を作るメラノサイトいう細胞の働きが低下して、黒髪成分であるメラニン色素が作られなくなったり、毛母細胞に色素が受け渡されなくなったりしているからです。

「老化による白髪=黒髪成分をつくる細胞の機能低下」です。ここにいくら鉄分をいれても、細胞機能が元に戻ることはありません

すなわち貧血でない人は、髪に十分な酸素が供給されているにもかかわらず、白髪になっているのです。酸素の供給される量は上限があり、鉄分をサプリで追加で供給したからといって、これ以上酸素が多く供給されることはありません。

そのため、貧血でない人が白髪対策をする場合は、鉄分サプリで黒髪に戻ることを期待するより、髪を染めるほうが手っ取り早いのです。

ただし、市販の白髪染めで染めると活性酸素(ものを劣化させる作用がある)が発生し、さらに白髪を増やしてしまう恐れがあります。市販の白髪染めは慎重に使う必要があります。

貧血の人が鉄分サプリを飲んでも黒髪にはなりにくい

では貧血の人が鉄分サプリを飲むと、黒髪が生えてくるでしょうか。

私は、健診で貧血っていわれたの。ただ貧血で病院に行くのは面倒くさいし、できればサプリを飲んで様子をみようかしら?

女性は月経やホルモン不順、無理なダイエットなどで貧血になりやすいです。貧血はじわじわと悪化していくので、自覚症状を感じることが少なく、医療機関に行かないで様子をみる女性も少なくありません。

しかし医療機関に受診しない貧血の人に忠告しておきたいことがあります。

鉄分サプリの鉄含有量は非常に少ないです

なぜなら、医薬品は病気の人に作られたもので、サプリメントは健康な人に作られたものだからです。

一般的に成人女性に推奨されている鉄分は、月経なしで6mg、月経ありで10mgとされています。これは健康な女性の場合です。

対して、貧血と診断された人が処方される鉄分は1日100~200㎎量となります。つまり、このくらい大量の鉄分を服用しなければ貧血は改善されないのです。

一方、市販でよく目にする鉄分サプリのそれぞれの鉄含有量は以下のとおりです。

  • DHC → 10㎎
  • 小林製薬 → 6.5㎎
  • ディアナチュラ → 18㎎
  • ORIHIRO → 10㎎
  • Nature Made → 6㎎
  • FANCL → 6㎎

ではドラッグストアなどで販売している鉄をそれぞれ確認してみましょう。

まずはサプリメントで有名なDHCの「ヘム鉄」です。

DHCの場合、1日2粒で10㎎が一日の量とされています。

小林製薬の「ヘム鉄」は以下のとおりです。

1日の目安量として3粒で鉄6.5㎎が推奨されています。

ディアナチュラの「鉄×マルチビタミン」ディアナチュラは以下の鉄含有量です。

一日に必要な鉄分18㎎との記載があります。

ORIHIROの「鉄+葉酸」は以下の写真のとおりです。

2粒で鉄分10㎎となっています。

Nature Madeの鉄は以下のとおりです。

こちらは1日の目安量を2粒としているので3㎎×2で6㎎となっています。

最後に、FANCLの鉄は以下のとおりです。

こちらは1日に4粒との記載があるものの、表には鉄の含有量が掲載されていません。そこで裏をみてみました。

こちらは4粒で6㎎となっています。

サプリメントの鉄の含有量は微々たるものであることが分かります。もし病院で処方される鉄剤の量をサプリメントで摂ろうと思うなら、鉄10㎎なら10倍必要ということになります。

ちなみに医薬品であれば、効果について実証されている確かなものになりますが、サプリは栄養補助食品で、貧血を改善させる効果は実証されていません。

また、このくらいの鉄分をとるとなると、サプリメントではお財布に厳しくなります。さらに、鉄以外に含まれる以下のような多くの添加物も気になってきます。

つまり、市販の鉄分サプリでは、貧血の症状改善は難しく、さらに黒髪が生えてくる可能性は低いということです。

貧血は鉄欠乏性貧血だけでなく、他の病気が隠されていて貧血症状を起こしている可能性もあります

貧血といわれた人は、医療機関を受診し、適切に治療を受けることが先決です。

怖いことをいうようですが、健診結果で「貧血で医療機関に受診」といわれた方で、ようやく重い腰を上げた女性がいました。その人は様々な検査をしたところ、大腸がんでした。腫瘍細胞からじわじわと出血していたため、貧血になっていたのです。

また特に40代女性は子宮筋腫や子宮内膜症、子宮腺筋症月経過多などで知らず知らずの間に貧血になっている人も多いです。

貧血にはこのような病気が隠れていることもあるので、一度医療機関を受診して、なぜ貧血が起こっているのか原因を明確にすることが大切です。

医薬品の鉄分の服用が難しい場合は仕方ない

ただ医薬品の鉄分は、服用した方に話を聞くと副作用が起こりやすく、むかつきや胃の不快感、吐き気、下痢や便秘を起こしやすいのも確かです。この不快感が耐えられず、途中で治療を自己中断する人もいます。

ただ、その場合は、注射で鉄分を補給することもできるので、医師に相談してみると良いでしょう。

また、サプリメントで目にする「ヘム鉄」は副作用が起こりにくく、吸収のよいのが特徴です。

もし、医薬品の鉄分の服用が難しい場合や、毎回注射をするのが怖いという人は、サプリメントからの鉄分供給も仕方がありません。

貧血でない人は「食事からバランスよく」が基本

鉄以外に関しても、サプリメントは健康な人の栄養補助食品です。「白髪が改善して黒髪になる」といった効果を期待して利用するものではありません。

サプリメントは薬などの医薬品と異なり、成分の品質や量に規制が設けられていません。

中には、信頼できない海外からの粗悪な成分を凝縮して、あたかも高品質なものとして、体の悩みの改善に効果があるように伝えている商品もあります。怖すぎます!

髪によい成分は、サプリメントを利用するのではなく普段の食事をバランスよくとることを意識するほうが大切です。髪に有効な栄養素とは以下のとおりです。

  • タンパク質:肉・魚・牛乳・卵・豆など
  • 鉄分:豚レバー・納豆 など
  • 亜鉛:生ガキ・豚レバー・高野豆腐・牛赤身・パルメザンチーズ など
  • マンガン:ショウガ、干しエビ・日本茶・しそ など
  • ビタミンA:ウナギ・鶏レバー・人参・かぼちゃ・ほうれん草 など
  • ビタミンB:牛肉・鶏肉・魚・卵・アボカド・ナッツ・バナナ など
  • ビタミンC:緑黄色野菜・柑橘類 など

髪の主成分はタンパク質です。ただ、タンパク質だけでは足りません。タンパク質は体内でアミノ酸に分解され、再合成され、そこでようやく髪の毛の栄養として行き渡ります。

このタンパク質の合成に欠かせないのが、亜鉛や鉄分、マンガンといったミネラルやビタミン群です。

なにか一つの栄養だけを偏って取っていたら、総合的には栄養不足になってしまいます。そうなると髪に栄養が届かず、十分な成長を遂げることができません。

大切なことは、良質な栄養素をバランスよく食事から摂ることです。

そしてサプリメントという味も何もしない栄養補助食品を感動なく機械的に補うよりも、目で見て、香りを楽しみ、味わって食べられる普段の食事にしたほうが、よっぽど心の潤いを感じられるはずです。

ちなみに和食は色とりどりで、バランスがいいです!

ただ偏った食生活をしていなければ、鉄分摂取を意識していなくても、日本人の食生活からすると1日に平均して15~20㎎は食べ物から摂取できているとされています。

そのため、もし貧血でない人がサプリメントで鉄を過剰に摂取した場合、肝臓障害を起こしたり、骨軟化症の危険が高まったりします。また心臓や腎臓など多くの臓器に鉄が沈着して、臓器障害が生じる副作用があります。

このようなことから貧血でない人は、わざわざサプリメントで鉄分を補う必要はありません。自分で貧血と勝手に診断して、サプリメントで鉄を補うことは今日限りでやめてしまいましょう。

ネットで悪質な白髪サプリ広告の見分け方

最後に、ネットなどで、「このサプリを飲んだら白髪が生えてきた」などを謳い文句にしている広告があります。この広告が悪質かどうかを見分ける方法について解説しておきます。

私の頭をつかいます。例えば、以下のような白髪頭の写真から、1ケ月サプリメントを飲んで髪全体が黒くなったといったビフォアフターを掲載していることがあります。この場合、100歩譲って、万が一そのサプリメントのおかげで白髪が黒くなったと仮定します。しかし、それは次の写真のようにオレンジ線で囲んだ生え際5㎜程度のことです。

もともと白髪である赤線の部分は、既に生えている毛なので黒髪になることはありません。

髪の毛は爪と同じで死んだ細胞です。植物の根のように白髪の根元から黒髪の成分が吸収されて黒くなることは絶対にありえません。

一度、ケラチン色素が抜けた白髪の部分は染めない限り、いくら栄養が満たされても白いままなのです。

髪全体が黒くなっているなら、それは完全に嘘、悪質です。

絶対に飲まないでください

このようなことから、白髪対策にサプリメントを摂っても意味がないということです。よくサプリメント広告を確認してください。

口にするものですので、「白髪を根本から減らす」「白髪をなくす」「白髪を予防する」といったサプリメントを安易に購入しないよう気をつけましょう。

白髪に特効薬はない!染めるほうが安心

サプリメントで白髪対策をしても、効果は定かではありません。効果はわからないのに、飲み続けることで体調に不調などをきたしてしまっては意味がありません。

やはり白髪は染めるのが一番効率のよい方法であるといえます。

その場合、市販の白髪剤ではなく、髪や頭皮にやさしい白髪染めトリートメントを使用し、ツヤやコシなどを元に戻らせれば一石二鳥で若々しい美髪を保つことができます。

サプリメントに頼るのではなく、白髪染めトリートメントを週末の美容習慣のひとつに加え、40代女性の魅力を存分に活かして、キレイで輝いた女性でいましょう。